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フォックス・タルボット賞 本物の表現力が求められる写真賞

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 フォックス・タルボット賞という写真賞をご存知だろうか?
 この賞は、東京工芸大学で毎年開催されている同学の学生と卒業生を対象とした写真コンペである。1979年に始まり、2010年で32回目を数えたので、かなり歴史あるコンペといえる。
 名称は、イギリスにあるフォックス・タルボット美術館の協力を得て、近代的な写真術であるネガ・ポジ法の発明者ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットの名を冠している。

 学生と卒業生のみが応募できる、いわば学内コンペのようであるが、ここでの受賞を経て、後に写真家として活躍するものも多く、なかなかあなどれない、知る人ぞ知るコンペなのである。
 もちろん入賞すれば、いくばくか賞金を手にすることもできるのだが、入賞作品は、世界の歴史的名作のオリジナル・プリントを数多く収蔵する、同学が運営する写大ギャラリーのコレクションに加えられ、半永久的に保存されるというのだから、応募者の気合いが入るのも無理はない。

 当然、収蔵作品になるからには、オリジナル・プリントとしてのクオリティーが求められていて、学生といえども、美術館やマーケットに出しても恥ずかしくないプリントを制作できなければ入賞することはできない。
 これまで、渡辺義雄、田沼武能、奈良原一高、細江英公、立木義浩、森山大道など、そうそうたる顔ぶれが同コンペの審査員を務めてきた。そこでは、表現としての新しさだけではなく、撮影技術やプリント技術など、写真表現としての本質的なレベルの高さが求められる。

 東京工芸大学は、大正12年に創立された日本で最も伝統ある写真教育機関であるが、近年では、第32回(2006年度)木村伊兵衛写真賞受賞の本城直季、第33回(2007年度)同賞の岡田敦、第35回(2009年度)同賞の高木こずえなど、同学出身の若い世代の写真家たちの活躍が目立っている。そこには、フォックス・タルボット賞で培われた、写真表現への真摯な取り組みが結実しているだろう。
 明日の写真界のスターの初々しい作品が見られるかもしれない注目のコンペである。

 *次回2011年度フォックス・タルボット賞受賞作品展は10月末より写大ギャラリーにて開催予定。


東京工芸大学のホームページ
http://www.t-kougei.ac.jp/

写大ギャラリーのホームページ
http://www.t-kougei.ac.jp/arts/syadai/

作品クレジット
写真1:伊藤真吾(2009年度 第31回 第1席「NO EXCUSE」より)
写真2:岩崎亮(2003年度 第25回 第1席「火垂」より)
写真3:小浪次郎(2008年度 第30回 第1席「I AM A SUPERMAN (FAKE)」より)
写真4:丸山創(2002年度 第24回 第1席「影法師~刻の流れの中に~」より)
写真5:大和田良(2002年度 第24回 佳作「Round」より)
写真6:森田一弘(1985年度 第7回 第1席「西遊写真録-中国の人々-」より)
写真7~10:長谷川唯(2010年度 第32回 第1席「孤独の地平」より)
写真11:牧野智晃(1999年度 第21回 第3席「ノロ」より)

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