写真好きならば、一度は鉄道を撮りたいと想ったことがあるはず。
そんな人たちを、尽きせぬ愉しみへと導く、新たな写真講座です。
第8回 SLが魅せる情景
鉄道写真を愛好する人たちのなかで、被写体として人気が高いのが蒸気機関車です。煙突から濛々と黒煙を吐き出し、足下から白い蒸気(ドレン)を切って、上り坂を喘ぎながらゆっくりと進む姿は「最も人間に似た機械」と言われます。鉄道ファンならずとも写欲をかき立てられる、蒸気機関車のある鉄道風景を撮影してみましょう。
上り勾配と駅発車シーンが狙い目
蒸気機関車最大の特徴は煙です。しかし、常にモクモクと煙を出している訳ではありません。
ボイラーで蒸気を作り、その蒸気圧を動力とするのが蒸気機関車。馬力の必要な場所では缶に石炭をくべて火力を上げ、蒸気をいっぱいに作り、蒸気圧を高めて運転に臨みます。
蒸気機関車撮影の際、狙い目となるのが、煙突から盛大に煙が立ち上る「馬力の必要な場所」です。では「馬力の必要な場所」とは実際にどんな場所でしょうか。
その一つが上り勾配。(写真1)は上り勾配が連続する区間で撮影した「SLばんえつ物語」。作画上で大切なことは、画面上部に煙のスペースを空けておくことです。作例では空けたスペースに煙が程良く収まりました。
上り勾配の区間を知る手がかりとなるのが、勾配区間の始まりを示す標識(写真A)です。標識の数字の「80.00」は、1000m進む間に80m上るという意味で80‰と表記します。写真の80‰は箱根登山鉄道のものですが、普通の路線では20~25‰程度でも急勾配とされます。前面が見通せる列車に乗れば、車内から勾配のある場所をロケハンすることが可能です。
煙が期待できるもう一つのシーンが駅の発車。(写真2)は真岡鐵道七井駅を出る「SLもおか」。C11形という小さな機関車ですが、盛大な煙とドレンの白い蒸気が迫力たっぷりに吐き出されました。どちらかといえば、寒い冬場の方が煙の表情が美しいとされます。
風景、操る人々の表情、鉄道情景
蒸気機関車の走る路線は後ほどご紹介しますが、一般の列車同様に様々な風景と組み合わせた撮影が楽しめます。(写真3・4・5)は只見線を走る「SL会津只見号」。年に2回程度の運行ですが、景色が抜群に良い只見線を走ることで人気です。只見川を渡る第一只見川橋梁(会津檜原駅~会津西方駅)は沿線随一の名舞台。この日は機関車の吐き出す煙がたなびく様子まで川面に写り込みました。
風景のみならず、蒸気機関車を操る人々の表情も魅力的です。(写真8)は肥薩線「SL人吉」に乗務する若き機関助士の姿。高温となる運転席で顔に汗しながら、真剣な眼差しで準備に取り組む姿に惹かれました。機会があれば撮ってみたい情景ですが、運転の邪魔にならないよう留意しながら撮影しましょう。
蒸気機関車ならではという施設も撮影してみたい項目の一つ。京都の「梅小路蒸気機関車館」は蒸気機関車現役時代の車庫をそのまま使用した博物館で、当時の情景を撮影することが可能です。(写真9・10)は特別に許可を得て4×5カメラを据えて、車庫と機関車の姿を撮影したものです。
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7.
蒸気機関車の周辺では魅力的な情景が生み出されている。早朝の特別撮影会で出会ったノスタルジックな光景。成田ゆめ牧場まきば線で。キヤノンEOS-5DMarkII、EF24-105mm F4L IS USM
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8.
発車前のホームから運転席内部を撮影。乗務員の真剣な眼差しが印象的だった。仕事の妨げにならないよう撮影はマナーを守りたい。肥薩線人吉駅で。キヤノンEOS-5DMarkII、EF24-105mm F4L IS USM
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9・10.
現役時代の扇形機関車庫を用いた梅小路蒸気機関車館。機関車隆盛の頃を思い、4×5カメラでじっくり撮影した。梅小路蒸気機関車館で。トヨフィールド45AII、ローデンシュトック・シロナー135mmF5.6 トライX(2枚とも)
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©Koji Yoneya
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