home > 鉄道風景写真講座 > 鉄道小風景をめぐる旅 第4回 米屋浩二(よねや・こうじ)

鉄道小風景をめぐる旅
第4回 人と鉄道との出会いを求めて~鳥取・兵庫を行く~

“改修される前”の情景を探しに

 9月初旬、ポルトガルを旅した。かの地では、都市の道路(特に路地)の多くに石畳が敷かれている。しかし、この石畳、歩きやすいとはいえない。ゴツゴツしているうえに、雨に濡れるとすべるのだ。坂の多いリスボンなどでは、雨上がりに転倒しそうになった。ところが石畳を踏んだ時の感触が、日本に戻ってからも強くポルトガルを思い出させる。ポルトガルの町々を最もリアルに記憶したのは、視覚や味覚ではなく、意外にも僕の足の裏だった。
 デコボコしていたり、ゴツゴツしていたり......写真を撮る時、そんな風景に目が反応してしまう。アジアの片隅で出会った人々、日本の木造駅舎......それらは存在そのものがデコボコ、ゴツゴツと、ひと癖ある独特な個性を発していた。ところが、今の日本では地方に至るまで、町並みは妙に直線的で、のっぺりとした風景に改修されていることが多い。それを否定するつもりはないが、思わずカメラを向けたくなる風景にもっと出会いたいものだ。「鉄道小風景をめぐる旅」は、僕にとってそんな味わい深い風景を探す旅かも知れない。鳥取県の若桜鉄道へ行こうと思ったのは、この鉄道がそんな味わい深く、“改修される前”の情景を残そうと努めていると聞いたからだ。

1. 因幡船岡駅から若桜駅へ向かう列車は、平日のお昼ということもあって至って静か。乗客たちが座席に残した痕跡を見ながら揺られる。若桜鉄道車内で。 キヤノンEOS7D、タムロン18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD、1/30秒、F8.0、ISO400、WB:くもり
2. 若桜鉄道の数ある木造駅舎のひとつ、因幡船岡駅を訪ねた。改札口越しに田園風景が広がっているのが印象的だった。ハイライトが飛ばず、シャドーも潰れないようにコントラストを低く設定した。若桜鉄道因幡船岡駅で。 キヤノンEOS7D、タムロン18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD、1/500秒、F5.6、ISO400、WB:くもり
 
   
3. 待合室の片隅にミニ資料コーナーがある。「サボ」と呼ばれる行き先表示のホーロー看板も展示。若桜鉄道若桜駅で。 キヤノンEOS7D、タムロン18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD、1/60秒、F7.1、ISO400、WB:くもり
4. 若桜鉄道は「鉄道の懐かしさ」を大切にしている。終点の若桜駅では国鉄時代に使われていた様々な用品を展示。時代ものの秤が目を引く。若桜鉄道若桜駅で。 キヤノンEOS7D、タムロン18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD、1/60秒、F5.6、ISO400、WB:くもり

 若桜鉄道は、因美線の郡家駅を起点に、若桜駅までの19.2kmを結ぶ第三セクターのローカル線である。清らかな八東川の流れに沿って、山あいへ分け入る鄙びた里山の風景が広がっている。分岐駅の郡家駅を除いた駅数は8駅で、うち6駅には旧国鉄若桜線時代の木造駅舎が残されている。若桜線は1930年の開業だから、駅舎巡りをするだけでも、訪ねる価値は十分にありそうだ。
 出雲での仕事を終えた後、予定を1日延長し、鳥取で1泊。翌日、因美線の列車で起点駅の郡家駅へ向かった。
 まずは郡家駅から2駅の因幡船岡駅で途中下車。この駅は窓枠や待合室のベンチまで木造で、温もりある木の質感を十分に楽しめた。ただ、木造駅舎なのは良いが、無人の駅舎には何処か寂しさが漂う。一人旅は時に寂しい。不意に誰かと話がしたくなった。僕は再び列車に乗り込み、終点の若桜駅へ向かうことにした。

5. 若桜駅に到着した列車から幼稚園児が降りてきて、静かな駅が賑やかになった。若桜鉄道若桜駅で。 キヤノンEOS7D、タムロン18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD、1/200秒、F6.3、ISO400、WB:くもり

●モニター作品の発表・第一弾!

鉄道小風景をめぐる旅・ワンポイントレッスン

タムロンの人気レンズ「18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD (Model B008)」の読者モニターのみなさんから作品が届いています。そこに、鉄道写真家の米屋こうじさんがワンポイントアドバイスで応えています。このレッスンをヒントにみなさんも思い思いの「鉄道小風景」に挑戦してみてください。→詳しくはこちら
鉄道小風景にも最適。「カメラグランプリ」と「EISA」を受賞した、小型・軽量15倍 高倍率ズームレンズ
火の見やぐらを狙って
ホームにお地蔵さんを見付けて
鉄道小風景にも最適。「カメラグランプリ」も受賞した、小型・軽量15倍 高倍率ズームレンズ

 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD (Model B008)は、一眼レフカメラ用交換レンズのAF機構に、超音波モーターの一種である定在波型超音波モーター「PZD(Piezo Drive)」を搭載している。素早いピント合わせが可能になっている。部品点数の少ないシンプルな構造で、レンズ全体の大幅な小型・軽量化にも貢献。DCモーターに比べ静音性に優れている点も見逃せない。
 当講座の講師・米屋こうじさんに、実際の撮影で「PZD(Piezo Drive)」の感触を試してもらった。
「車窓風景は一瞬のうちに過ぎてゆくものです。撮りたい風景は待ってはくれないですよね。ですから、ストレスなく、素早くピントが合わせられる武器は何より頼もしいわけです」
 撮影者自身(米屋さん)は高速で移動しながらも、狙った被写体に素早く反応してくれたそうだ。
「静音性にすぐれた超音波モーターのおかげだと思いますが、駆動音もほとんど気にならず、あっという間に撮影に集中することができました」


写真上:火の見やぐらを狙って
写真下:ホームにお地蔵さんを見付けて

手ブレ補正機構「VC」
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