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撮影テクニック
広角レンズを使った主題の強調
<風景写真>
広角レンズでは単に広い画角が得られるだけでない。ここでは、その特性を活かして主題に近づくことにより撮影者の伝えたい意図、主役を明確に表現してみる。
遠近感を強調してダイナミックに
安定感が感じられる構図
安定感が感じられる構図
新緑が芽吹くブナ林で出会った風景。リズミカルにならんだ根開きを、第一印象のまま素直に表現したもの。無理のない安定感が感じられる構図。
遠近感を強調した構図
遠近感を強調した構図
上の作例より数歩近づいて手前の根開きを大きく入れ込んで遠近感を強調したもの。画面からは強い緊張が感じられ、根開きがダイナミックにクローズアップされている。
 風景写真には欠かせない広角レンズだが、ただ漫然と使ってしまうと、ポイントが不明瞭になってしまうことがある。それはレンズの特性を活かしきっていないからだ。
 広い画角が得られる広角レンズは、狭い場所でもより広範囲に風景を取り込むことができる。しかしそれだけではない。広角レンズには、近距離の被写体はより大きく、遠距離の被写体はより小さく写り込むという特性がある。この特長を活かすことでパースペクティブ(遠近感)を強調することが可能となる。そして主役をより強調しながら脇役や背景と対比させることで、ダイナミックなイメージを生み出せるのだ。
 そのためには、何を伝えたいのかを明確に意識し、対峙した風景の魅力をどうやってクローズアッするべきかを考えることが求められる。そして何より広角レンズを使いこなす第一歩は、文字通り、一歩でも主役に近づくことだ。
 上の写真は、左手前のブナの根開きが、右奥に連なっていくリズム感に惹かれて、レンズを向けたものである。第一印象で感じたままを素直に表現するために30mm域を選択した。これはこれで無理なく自然な印象に見えるが、すこしインパクトに欠ける。そこで主役にしたい左手前の根開きに近づき、より広角となる24mm域で撮影したものが下の写真だ。主役である左手前の根開きから右奥まで、上の写真と同じようなバランスとなるように左右の位置をそろえている。しかし、わずかに近寄っただけで圧倒的にパースペクティブが強調され、ダイナミックな印象が与えられる。
 なお、ズームレンズはとても便利だが、ややもするとズーミングだけで撮らされてしまうことが多い。しかし、写真の見栄えは、撮影ポジションとレンズワークを組み合わせることで、ぐんと変わる。このことを踏まえて被写体に向かって一歩踏み出してみれば、いままでとは違った世界が開けてくるはずだ。

タイトルをイメージして被写体を探す


しばらく根開きの撮影を楽しんでいたところ、3つに並んだ根開きを見つけた。まるで目が飛び出てビックリしているような、漫画の一コマのようにコミカルな印象に感じられた。そこで思いついたタイトルが「わっ! 驚いた!!」。突然の来訪者に驚いてしまったのだろうか、などど思いながら、可笑しくなって笑いながら撮影したことを覚えている。このようにタイトルをイメージしながら被写体を探してみると、それまで見えなかったものが見えてくることもあるのだ。

写真・文:萩原俊哉

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