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撮影テクニック
レンズの特性を意識して森を表現する
<風景写真>
風景撮影においてはレンズの特質を活かす視点を持つことも重要だ。実践のフィールドでレンズの持っている特質を活かすポイントを紹介する。
画角だけでなく距離感の違いも意識して使う
望遠レンズでの撮影
望遠レンズでの撮影
森の中で整然と並んでいるブナ林が目にはいった。そこで望遠レンズの圧縮効果をつかえば並んだ幹のリズム感のみを抽出できると考え、枝や葉など他の要素を一切排してフレーミングしたもの。
広角レンズでの撮影
広角レンズでの撮影
ブナの生命力のたくましさをダイナミックに表現したいと考えた。そこで広角レンズの特性である遠近感の誇張を活かすため、ブナの根元にカメラをセットして見上げるように撮影したもの。
 レンズの特性を活かした視点を持つと撮影の幅はとても広がる。しかし、必ずしもレンズの特性を活かしきれていない写真を見ることも多い。実際のフィールドではどのように活かすことができるのだろうか。そこで、ブナの美林で知られる新潟県十日町市の美人林で、両極端な特性を持つ望遠レンズと広角レンズで撮影してみた。作例で検証してみることにしよう。
 望遠レンズは画角が狭いため、風景の一部分を切り取るのにとても便利なレンズだ。しかしそれだけでは望遠レンズの特性を十分に使いこなしているとはいえない。望遠レンズには、距離の異なる被写体同士の距離感を消失させる圧縮効果があるのだ。作例の上の写真では、規則的に並ぶ幹のリズム感に惹かれ、望遠レンズの圧縮効果を活かしたフレーミングをしたもの。手前の幹から奥の幹までは10m以上はあったはずだが、作例からは距離感が感じられず、あたかも幹同士が隣接しているように見える。
このような、規則的に立ち並ぶリズミカルな被写体はもちろん、たとえば高山と花畑を組み合わせるなど、圧倒的に距離の異なる被写体同士の距離感を消失させて、異なる被写体同士に関連性を持たせることも可能となるのだ。
 一方、広角レンズはいうまでもなく画角が広い。一般的な使い方では、広い範囲を画面に取り込むようにする。だが広角レンズには、近距離の被写体はより大きく、遠距離の被写体はより小さく写り込ませる性質がある。つまりこれをうまく活かせば、画面に遠近感を強調することが可能となるわけだ。下の作例では一本のブナの根元に立ち、見上げるように撮影したもの。根元の太さが強調され、上に向かって極端に細くなっている様子がわかるだろう。また手前の樹と、奥の樹の太さの違いからも遠近感が感じられるはずだ。同じエリアのブナ林であっても望遠レンズと広角レンズの特性を活かせば、ご覧のとおり得られる表現はまるで異なるのだ。

写真・文:萩原俊哉

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