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試用レポート
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キヤノンPowerShot S90 高機能を凝縮させたコンパクトデジカメの真価
 PowerShot S90は、キヤノンにとって新たなセグメントとなるカメラだ。以前にも“S”と付くカメラはPowerShotシリーズにあったが、最後の登場から時間を経ており、コンセプトの違いからもまったく別ものといってよい。
 そのS90は、1/1.7型の有効1,000万画素CCDセンサーを搭載。同シリーズの最上位機ともいえるPowerShot G11と同じセンサーである。ちなみにG11の前モデルPowerShot G10は有効1,470万画素のCCDセンサーであったが、高感度撮影時におけるノイズの低減とダイナミックレンジの拡大を優先した結果、画素数をダウンした高感度タイプのものを採用したとのこと。S90でもその性能は存分に発揮され、通常コンパクトではノイズの発生が顕著になり始めるISO400ないしISO800でも気になるレベルではない。画質も上々である。ちなみにISOレンジは、80から3200まで。さらに低照度時の撮影に適したモード「ローライト」に設定すると、最高ISO12800まで可変する。
 ワイド端の開放値がF2.0と明るいのも特筆すべきところだ。イメージセンサーのスペックとともに、このカメラの性格を特徴づけている。35mm判換算で約28〜105mm相当の3.8倍ズームレンズは、さすがにテレ端はF4.9と暗くなってしまうが、G11に搭載される28〜140mm相当の5倍ズームはワイド端の開放値がF2.8なので、アベイラブル撮影に重きを置くユーザーなどS90のほうが使い勝手は上に感じることだろう。
 撮影モードにはプログラム、シャッター優先AE、絞り優先AEを備えるとともに前述したローライトモードなども加わり、ユーザーの使用状況に応じた多彩な撮影に対応する。画像フォーマットはJPEGのほかにRAW形式でも選択が可能。グレードの高いコンパクトは欲しいけど、G11ではちょっとマニアック過ぎると感じるユーザーや、コンパクトでも性能を第一に考えたいユーザーには、Power Shot S90は打ってつけのカメラといえる。

レンズ鏡銅周りのローレット加工のなされたリングが、「コントローラーリング」。ISO感度や露出補正、絞り値やズーミングなど機能切換えボタンで割り当ることが可能だ。カメラを構えたときにも操作しやすく使い勝手はよい。

カメラ背面部の十字キー周りには、「コントローラーホイール」を備える。主に露出補正などの設定を行うが、なぜかクリックストップが付いていないため操作は若干心細い。

被写体の明るさに応じてポップアップするストロボを備える。カメラの電源を切ると自動的に本体に収納される。
デザイン:従来のPowerShot系のデザインを踏襲。派手さはないが、飽きのこないテイストが特徴的。
 ひと言でいえばシンプルなボディデザイン。これまでのPowerShot系のデザインテイストを踏襲しており、曲面、曲線を多用したIXYシリーズほどの派手さはないものの、いつまでも飽きのこないデザインといってよいだろう。カラーはブラックのみ。ボディ表面には高級感のあるマット調の仕上げが施される。背面部には、操作部材のあるスペースをわずかに残し3.0インチ46万ドットの液晶モニターが広がる。ボタン類のレイアウトなどは基本的に従来どおり。

シンプルで精悍なフォルムだ。性別や年齢に関係なく使用できそうに思える。
使用感・操作感:「コントローラーリング」を新たに採用。「コントローラーホイール」とともに、直感的な操作がよりしやすくなった。
 これまでのコンパクトモデルにない新たな操作部材として、「コントローラーリング」を採用する。レンズ鏡銅の周囲にあるローレット加工された金属性リングで、回転させることで設定が行える。「コントローラーリング機能切換えボタン」で調整できる項目は、ISO感度、露出補正、絞り優先AE時とMモード時の絞り値、シャッタースピード優先AE時のシャッター速度など。ステップズーム(段階的に28mm、35mm、50mm、85mm、105mmに切り換わる)を選択するとズームリングとしても使用できる。背面部十字キー周囲に備わる「コントローラーホイール」とともに直感的な操作を可能としており、たいへん便利に思えるところだ。なお、コントローラーリングのみクリックストップがあるが、コントローラーホイールにも欲しく感じた。
 カメラのホールドは指掛かりするところがないように見えるが、カメラ背面部にあるモードダイヤルから続く膨らみが自然と右手親指に当ることもあり、スリムタイプとしては持ちやすい。

背面のボタン類は大きく操作しやすい。液晶モニターには、42万ドット3インチを採用する。
 ストラップを右手に通し、コントローラーリングを左手で持つように構えると、より一層安定した構えが可能だ。
 そのほか、使用頻度の高い設定機能をワンプッシュで呼び出せる「ショートカットボタン」や「ガイダンス表示」機能なども備える。
描写性:ヌケがよくクリアな描写。コンパクトとしては十分な諧調再現性を持っている。
 階調再現性はハイライト部およびシャドー部のデティールはよく再現しておりコンパクトとしては良好。ノイズレベルもS90のISO400は、従来のコンパクトモデルのISO200にほぼ匹敵する。ローライトモード撮影でいろいろと感度を上げて試してみたが(最高ISO12800まで自動的に設定されるが、実際になかなかそこまでの感度には達しない)、ノイズレベルとしてはコンパクトとして概ね満足できるものである。また、彩度が変に高くないので原色系の色飽和も発生することは少ないように思えた。
 レンズの描写特性としては、極端な周辺光量の低下や色のにじみなどはわずか。解像感も不足を感じさせないもので、ヌケがよくクリアな描写である。ワイド側でタル型のディストーションが見受けられるが、さほど気にならないレベルである。

ワイド端開放値は、同じイメージセンサーを搭載する上位機PowerShot G11よりも1段分明るいF2.0。光学式手ブレ補正機能を搭載する。
写真・文:大浦タケシ

PowerShot S90の主な仕様
撮像素子 有効約1,000万画素、1/1.7型CCD
レンズ(35mm判換算) 28~105mm F2.0~4.9
レンズ構成 6群7枚(両面非球面UAレンズ1枚、両面非球面レンズ1枚)
撮影距離(レンズ先端から) 通常:50cm~∞
オ-ト/ロ-ライ:5cm(W)/30cm(T)~∞
マクロ:5cm(W)/30cm(T)~50cm
マニュアルフォ-カス:5cm(W)/30cm(T)~∞
感度 ISO80~3200 オ-ト ※ロ-ライトモ-ド時は最高ISO12800まで可変
手ブレ補正 あり
デジタルズーム 約4.0倍(光学ズームと合わせて最大約15倍)
AF機構 TTL方式(顔優先/9点AiAF/中央1点)、シングル/コンティニュアス選択可能(オート時)、AFロック可能、AF補助光(入/切可 能)、マニュアルフォーカス可能
測光方式 評価、中央部重点平均、スポット(中央固定)
シャッター速度 オートモードで1~1/1600秒、15~1/1600秒まで可能
連写(ストロボ・自動発光なし) 通常:約0.9画像/秒(オート時)、約2.1画像/秒(ローライト時)、AF連写:約0.6枚/秒、ライブビュー連続撮影(マニュアルフォーカス時に、撮影直前の被写体を確認可能):約0.6枚/秒
記録媒体 SDメモリ-カ-ド/SDHCメモリ-カ-ド/マルチメディアカ-ド/MMCplusカ-ド/HC MMCplusカ-ド
液晶モニター 3.0型TFTカラー液晶(約46.1万ドット)、視野率:100%
記録画素数(ピクセル) 静止画 ラージ‐3648×2736、ミドル1‐2816×2112、ミドル2‐2272×1704、ミドル3‐1600×1200、スモール‐640×480、 ワイド‐3648×2048、RAW‐3648×2736、ミドル(ローライト)‐1824×1368、動画 〈スタンダード〉:640×480:30fps、320×240:30fps
記録方式 静止画‐JPEG/RAW、動画‐MOV[画像:H.264、音声:リニアPCM(モノラル)]
大きさ・重さ 100.0×58.4×30.9mm(突起部を除く)・約175g(本体のみ)
価格 実売4万1800円

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