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アサヒカメラ.net  写真の殿堂 審査結果   
2009.11
選者より総評にかえて(大山高)

 写真の楽しみ方は多種多様です。その多種多様な写真をコンテストという場ですべて一緒にして、優劣をつけることを乱暴に感じる方もいらっしゃるかと思います。そこで、先月に続き、選考基準についてのお話を今回も続けようと思います。

 写真の殿堂は、いっさいの区分をなくしてスタートしました。当初は、どのような作品が投稿されるのか、手探りの状態から出発しました。審査を任された私も、どこに基準をおいたものか、悩みながら選定し講評してきました。ところが回を重ねるごとに、そのような迷いはなくなりました。何故なら、皆さんの応募作品が写真作品として一定の水準を維持していると判断できたからです。

 先月のこの欄で、「単なる写っている写真と作品と呼べるものとは、全く次元が違うということを、写真の殿堂という場を通して皆さまと一緒に考えていきたいと思います」と申し上げました。その文章がまだUPされていないタイミングで、とても貴重な作品の応募がありました。そのタイトルを「気配」といいます。

 写真には眼には見えないものが写る。それを一言でいえば、「気配」だと言うことが出来ます。選考会で面白いと評価される写真には、ジャンルの枠を超え、すべて、眼には見えない気配が写っています。上位入賞者の作品からは、ただならぬ気配を濃厚に感じます。このことを前提に、これまで殿堂入りしてきた写真を見直してみて下さい。気配にもいろいろありますが、そこに醸し出される上質な気配をお分かり頂けると思います。

 一方で、撮影された結果としての作品が「説明写真」や「報告写真」に見えてしまったら、受け手にとっては、写真の行間に写り込んでいる「気配」を受け取る愉しみがありません。先月も申しましたが、ポスターの絵柄や看板、印刷物の文字に代弁させるのは工夫がないと感じます。それらに興味を引かれ、つい撮ってしまうことの面白さは分かります。しかし、表現としては安易な方法と見えてしまいがちです。写真表現が作品として昇華するうえで楽しくも悩ましいところは、「気配」の匙加減にある。このことを大切にして頂きたいのです。

 この講評がUPされる頃は、まさに写真日和到来の季節になっているはずです。5月の応募締め切りまでには、まだまだ時間があります。これまで述べてきた注意点をご確認のうえで応募されると、入賞の可能性が増すことと存じます。

「様々な時の断片」箱男さん
「僕は見届けた また来る夏の為に」
cozyさん
「暮れゆく」長さん
「記憶の中の森」
トリプルボギーさん
「暮れゆく」長さん
「桜花の元。」
ture_zureさん
「懐かしさ」透明染色体さん
「寺けぶる」
もじさん

 ここに作例として使わせて頂いた作品からは、独特の雰囲気を感じます。「雰囲気がいい」とか「空気感を感じる」という言葉がありますが、そんな感覚は眼には見えません。しかし、眼には見えなくとも感じることが出来ます。それを「気配」と言い換えることが出来ます。眼には見えないものを写真によって可視化する。表現とはそういうことなのだと思います。

「ネオセルフポートレート in da HOTEL」toy dogさん
「未来への橋渡し」
fragmentさん
「GEISAI」nkcさん
「黒板」
TAMAKIさん 
「girl」 GIRLさん
「プリズム」
銀さん
 こちらは、写真による「気配」を可視化する変換作業を、実験的に試みた作品といえるでしょう。作者が対象から感じとった感受性、あるいは自分の心の中を覗き込んだような気持ちが表現されています。
「水鏡空模様」 荒川典久さん
「道しるべ」
Sゆうこうさん 
「水の造形」 黒白牛さん
「面構え」
isyadouさん
「月と足跡」 Kooyuさん
「見守る背中」
エルマーさん

 こちらの3作品のユーモアセンスもよく理解できます。ユーモアも気配を感じとることから始まります。誰もが目にしているはずの日常の風景が、写真で切り取ることで、面白可笑しく伝わる。時には、ヒリヒリとワサビが利くこともあるでしょう。日頃から、注意深く観察していないと出来ないことです

「水の造形」 黒白牛さん
「手」
北風さん
「水の造形」 黒白牛さん
「異景の荒野」
木綿屋喜三郎さん

 木綿屋喜三郎さんは、作品解説で「足尾の異風景を明暗を強調して表現してみました」と記しています。北風さんは「人の手は不思議」と感じています。そのような感受性を出発点にして、作品制作をされているアプローチを見れば、写真が本当に好きな方だということが分かります。しかし、映像として伝わる感覚よりも言葉の概念にとらわれているように感じました。作品に仕上げる際に、完成度を追求するあまり、考え過ぎている可能性があります。マイページを見るかぎり、直感的にお撮りになった良い写真が埋もれています。今後に期待しています。

※メンバーのニックネームは応募時点のものです。

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