home > アサヒカメラ.net 写真の殿堂 > 審査結果詳細(選者による講評)

作者の作品では、ボケ味が重要な役割を担っています。今回の応募作品も、45mmF2.8の解放値での描写が、とてもよい味を醸し出しています。このような写真は、作者の気分をいかに伝えるかが難しいところです。今回は成功していると感じました。また、タイトルに思い入れを塗り込まなかったのが良かったと思いました。その結果、今回は、見る側である私の気持ちにスッと入ってきたと感じました。このような作風も、日常のスケッチの有り様だと思います。
ブッシュを写した写真として眺めると、画面を支配する線に美しさを感じる作品です。ところが、タイトルや解説を見ると、心象風景を表現した作品であることが分かります。私は、作品を発表したあとは、鑑賞者の自由な想像力に委ねた方が面白いと思っています。タイトルで見方を限定することは、写真の本質から遠ざかってしまうことがあります。「苛立ち」という直接的な言葉は使わない方がよいのです。また、今後はタイトルと解説の関係をより工夫してみて下さい。
スナップは出会い頭の身体的反応がなによりも大切です。作者の反射神経が素晴らしい作品です。携帯端末で撮影している二人の姿態には、思わず微笑ましいものを感じます。その上で、扇子で扇いでいるご婦人の様子が、とても効いています。スナップの場合、シャッターを押す切っ掛けとなる主題も重要ですが、それ以上に余白や脇役の要素が見逃せません。手前の人の膝が入っているのも良い感じです。
電線写真というジャンルがあるわけではありませんが、私も気がつけば、相当数撮っています。実用的な都合だけで張り巡らされたその線に、時として美しさを感じる瞬間があります。作者も、この電線が織りなすラインを見てそう感じたのではないでしょうか。特に、都市部の電線では通信ケーブルが増えていて、複雑な模様を描きます。応募作品には、私も好きなラインが写っています。電線や電柱は、都市空間において異物感を抱かせます。そして、そんな異物に反応する感性とは、写真家の美意識だと思うのです。
※メンバーのニックネーム・作品名は応募時点のものです。







