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アサヒカメラ.net 写真の殿堂 審査結果 2011.12
選者より総評にかえて(小林紀晴)
小林紀晴

 本年もよろしくお願い致します。
 昨年に引き続き、今年も審査をやらせていただきます。昨年は大きな災害が日本を襲いました。放射能の問題もあり、人々の暮らし、そして価値観が大きく変わりました。そんな時代にあって、写真を撮るとはいったいどういうことだろうかと、問われているような気が私自身してなりません。
 何故ならば、写真はいましか撮れないからです。いまこの瞬間を、いまいる場所で、いまある出来事しかカメラに収められないという絶対の約束事があるからです。だからどんな写真であろうと、意識的であろうと無意識であろうと、時代と無縁ではありえません。世相を反映することもあります。
 そんなことを頭の隅におきながら、今年も写真をたくさん撮って応募していただけたらと思っております。お待ちしております。

今回の最終選考まで残った作品を紹介します
「冬の虹」pxv takaさん
「冬の虹」
pxv takaさん
「夕日に合掌」岩 魚六さん
「夕日に合掌」
岩 魚六さん
「少し、浮き足立った日。」いなりゅさん
「少し、浮き足立った日。」
いなりゅさん
「灼熱道路」花内光さん
「灼熱道路」
花内光さん
「お食事中」河合 都章さん
「お食事中」
河合 都章さん
「そのうつくしいくには」Worldxさん
「そのうつくしいくには」
Worldxさん
「湘南散景<記憶の中に>」内田 修さん
「湘南散景
<記憶の中に>」
内田 修さん
「シャワー」jackalさん
「シャワー」
jackalさん
「背中」sakura*さん
「背中」
sakura*さん
「月光荘 宵闇の日常」橙鯨さん
「月光荘
宵闇の日常」
橙鯨さん
「母娘」photomotokさん
「母娘」
photomotokさん
「はざま」Mkunさん
「はざま」
Mkunさん
「日の出町界隈」usanさん
「日の出町界隈」
usanさん

ワンポイントアドバイス: ポートレートについて

 今月は、よいポートレートとは何かということについて、私の考えを書かせていただきます。作例は殿堂に選ばせていただいたkaochanさんの「いってらっしゃい」です。
 ポートレートは日本語で時に肖像写真とも訳されます。肖像という言葉から連想するものに、肖像画があります。つまりポートレートは肖像画の意味合いがあります。ということは、そこにその人がいると強く感じさせるものでなくてはなりません。さらには撮る者と撮られる者のあいだに信頼関係のようなものがないと成立しない気がするのです。その点が、出会い頭を撮ることでも成立するスナップ写真とは大きく違う点だと思います。

 この写真が何故、殿堂に? と思われる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。決定的瞬間を撮ったものでもなければ、特別な状況を撮ったものでも、劇的な風景を撮ったものでもないからです。インパクトがあるわけでもありません。もちろん、目を引く瞬間をとらえたものや誰も見たことのないような絶景を撮った写真は貴重です。その一方、何気ない日々の出来事のなかにある美しい「こと」を見つけた写真もまた評価されるべきだと考えます。非日常の美しさと日常の美しさとの違いといえるかもしれません。
 カメラは人の営みを記録するのにとても適した道具です。傍らに置いておけば、すっと手にしてすぐに撮れるからです。絵画だとなかなかそうはいきません。

 詳しいことはわかりませんが、この写真、私が勝手に想像すると、子どもたちが学校へ行く前、降ったばかりの雪と逆光ぎみの朝の光を目にした瞬間に、ここで1枚撮っておこうと咄嗟に思ったのではないでしょうか。そして子どもたちを呼び止め、短い時間で撮ったように思えます。その感じがとても好きです。写真らしい行為だからです。一瞬生まれ、すっと消えていくセッションのなかに間違いなく信頼関係が見えます。そして私はこんなふうに日常のなかで撮られた写真を、とても美しいと感じるのです。
 この手の写真は、正直に言うとあまりコンテストには向いていません。どうしてもビジュアル的には弱くなりがちだからです。でも私は、積極的に評価していきたいと考えています。





※メンバーのニックネーム・作品名は応募時点のものです。

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